社会人の趣味 第346位!JAIST科目履修生 体験談

趣味の一環で北陸先端科学技術大学院大学(以降、JAISTと呼ぶ)に科目履修生として通っていました。

テストが返却され落ち着いたので、備忘録を残しておこうと思います。JAIST科目履修を考える人に少しでも役立てば嬉しいです。

受講きっかけ

RailsエンジニアからSREエンジニアにキャリアチェンジしネットワーク、CPU、OSに関する知識をインプットする機会が増えました。興味が移りやすい性分なので、半強制的にインプットできる方法を探っていました。以前、JAISTに通っている友人がCPUやメモリの宿題について話していたのを思い出しました。シラバスを覗いたところ「統合アーキテクチャ」というピッタリの講義を見つけたので応募しました。

科目履修生を考えてる人へのアドバイス

受講受理までに迷ったことを残しておきます。正確な情報は大学に確認して下さい。

  • 年度毎に開講講義が異なるので、受講したいならとりあえず申し込む
  • 講義開始月の前月末日まではキャンセル可能
  • わからないことは、サイト読むより電話した方が早い
  • 申込用紙の正規課程への入学希望には、「いいえ」と回答しても受講できた

統合アーキテクチャについて

講義について

CPUパイプラインやメモリキャッシュに思いを馳せ、キャッシュミスペナルティの重要性に気づかせてくれるような講義でした。長年積読になっていた「コンピュータの構成と設計」に自然と手を伸す気力を与えてくれました。

講義の後、毎回30分ほど延長して先生を質問攻めにする会が開かれるなど活発的なクラスでした。

私は、講義中にもわからない点があったら質問し若干進行を妨げてしまった感があったので申し訳なかったですが、とても楽しかったです。

講義は録画されているので、何でも見返すことができます。オンラインでも受講できるのですが、先生に質問しやすいのでオフラインがオススメです。

参考までに講義中に出た用語を紹介します。

データハザード、パイプラインレジスタ、フォーワーディング、ストール、Direct-mapped cache、Set-associative cache、オフラインスケージュリング、オンラインスケジューリング、Rate Monotonic、Earliest Deadline First、優先度逆転問題、優先度継承プロトコル、優先度上限プロトコル

学んだこと、考えたこと

  • 命令数を少なくするとメモリ使用量を少なくできる。
    • 不要なコードがあるとメモリ使用量が多くなるので、不要なコードを削除するのは大事
  • 部分最適をしても全体が速くなるとは限らない
    • パイプラインステージの一部だけ高速化しても意味がない。遅いものに律速する。速いステージをなんとか活かそうとすると回路が複雑になってクロック数が小さくなる可能性がある。
      • Webシステムに応用すると、一部ユーザーのレイテンシを下がることでプロダクト価値は高くならない。平均的なレイテンシを下げるのが重要。
      • 自チームから見ると非効率でも組織全体で捉えると効率な時がありそう。
  • 何事にもメリットとデメリットがある。もし、デメリットが出てこないなら知識不足を疑った方がいい
    • 再帰関数は、メモリ使用量がコードから解析するのが難しいというデメリットというのを知らなかった
  • キャッシュミスは痛い。できるだけキャッシュに乗せろ vs キャッシュを許すな (最悪実行時間が計測できない)

評価について

レポート49点。テスト43点。合計92点でした。

評価Aなので素直に嬉しいですが、理解不足でレポート満点を逃したり、テストで応用問題が解けなかったなど悔しさもあります。

先生曰く、平均点80点を目指してレポートとテストを作成しているようです。

レポート内容発表から2週間後が提出期限でした。レポートに費やした時間は10時間です。内訳は、講義動画復習と課題にそれぞれ5時間。

テストは、資料持ち込み可でした。試験対策として講義動画を4時間復習しました。

(私の)改善ポイント

先生と生徒間のコミュニケーションは活発でしたが、生徒同士の交流はなかったのが少し勿体ないなかったです。

レポートを一緒に作ったり、テスト後の打ち上げなどのイベントを自分で開催すればより楽しめただろうなと思いました。

10月には、「並列処理」と「コンピュータネットワーク特論」を履修予定なのでやっていきます!

雑感

1ヶ月大学院に通う中で、独学で学ぶ環境が整っている時代に敢えて大学に通う意味はなんだろうという考える機会がありました。

良質な問い。そして、問いに対する議論できる場の提供が大学の価値ではないかとないかと考えました。JAISTはその両方が提供されている場ではないかと思います。

最後に

私が考えなかった視点で質問していた受講生の皆さん。JAIST Slackで共に議論したDさんとYさん。遅くまで残って質問攻めにしたにも関わらず嫌な顔をせず付き合って下さった田中先生。ほんの一か月でしたが、皆さんのおかげで楽しい学生生活を送ることができました。本当にありがとうございました。